- 仏事Q&A
「知事」とは、どういう意味ですか?
現代では、知事といえば各都道府県の長のことですが、本来は、サンスクリット語のカルマ・ダーナの漢訳語で、インドの僧院における役名です。
実は、寺院の知事が本家で、現代一般的に使われている知事はそれを踏襲したのです。
知事とは僧団内の役職のことで、教団の財物の保護や修行僧が所望する物を必要に応じて差し出す役目を担っていました。お寺の財物の管理係です。
また、禅寺では寺院運営を司る役職でもあります。「知」とは知るという意味ではなく、物事を「司る」という意味です。そのため、寺院での知事職は位の高い役職なのです。現代の都道府県の知事の同様です。
寺院での知事職に就くことができる僧侶は「よく戒律を守り、公正な心を有する聖者」でなければなりません。寺院の財産を管理運営するのですから、当然のことです。
現代の都道府県の知事も、市民からの信頼がなければその役職をまっとうすることはできません。
知事は、その団体の長であり、団体の財産を守る役目にあります。ですから、公正で社会のルールを守ることが大原則です。
知事ご自身も、また知事を選ぶ市民も、知事の原点を知っておいたほうがいいと思います。