- 仏事Q&A
拈華微笑とは、どういう意味ですか?
「ある時、お釈迦様が霊鷲山で多くの弟子たちに教えを説いていた時のこと。お釈迦さまは、傍にあった蓮の華を手に取って、その華を拈って弟子たちに示しました。弟子たちはみな黙し、誰一人応じる者はありませんでした。ただ一人、マハーカーシャパのみがその意味を了解して微笑しました。そこでお釈迦様は彼にだけ、正法眼蔵・涅槃妙心・実相無相・微妙法門・不立文字・教外別伝の真理を授けました。」
これが「拈華微笑」と言われる逸話です。
この逸話が元となって、以心伝心という禅の教えが確立されました。それ以来、禅門では言葉ではなく、坐禅や問答、音や作業などで悟りを伝えてきました。
それは一種の閃きであって、言葉で教えられるものでも伝わるものでもない、ということです。ですから、以心伝心なのです。
しかし、以心伝心できる者は、ほんのわずかな人間です。伝えるほうも、理解できるほうも少ないのです。多くの人は、言葉でなければ伝えることはできません。大勢いたお釈迦様の弟子の中でも、たった一人しかお釈迦様の真意を理解できなかったのです。それほど、以心伝心は難しいものなのです。
コミュニケーションは大切です。
言わなくても分かるだろう、それくらい察して欲しいということは、困難なことなのです。言葉を惜しむことなく伝える努力をしたほうが理解してもらえるのです。そして、その積み重ねがあってこそ、以心伝心は生まれるのです。
ちなみに「拈華微笑」の真意ですが、これは謎とされています。解釈もたくさんあるでしょうし、また一つでもあるでしょう。
皆さんは、どういう解釈を得るのでしょうか?